星は空の彼方、月よりも遠く

晴観雨作、晴れたら星空観望、降れば望遠鏡工作、永遠のビギナーを抜けられず、日々悶々としています。

December 2015

もう、適当な高度で月を見るには、夜更かしと言うより早起きをしなくてはならなくなって来ました。天気予報は概ね「晴れ」ですが、時折雲が移動してゆきます。今回も雲の移動を待ちつつの撮影になりました。見るべき地域はいっぱいありますが、雲に邪魔されて落ち着いて見ていられませんでした。テオフィルス、キリルス、カタリナは同じような大きさですが、ふるさの違いがクレーターの縁の崩れ方の様子からうかがえます。また、ポシドニウスもちょうどよい見頃です。
 
イメージ 1

月齢:19.364AL107PH+2xTeleplusPRO300
20151231041420
月の位相:243.587°、月の輝面比:72.242
月の地心距離:399,659km、平均との比率:103.969

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2015/12/31 04:14:20
月の自転軸の北極方向角:24.400°
地球から見た月面中点の月面緯度:0.929°、月面経度:3.144°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.51°、月面経度:-64.45°     
 
撮影日時:20151231041420ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)
露出時間等:1/250秒(ISO800)で200枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所
その他


上からテオフィルス、キリルス、カタリナですが、テオフィルスは、縁がきれいで中央丘がはっきりした、比較的新しいクレーターのようです。直径はいずれも100kmくらいです。
 

イメージ 3

撮影日時:20151231041250ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/160秒(ISO800)で217枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
トリミング:500ピクセルx500ピクセル

その他 同じ

 
 

1221日の撮影(http://blogs.yahoo.co.jp/thought_of_stars/17673234.html)で、5.5等星の星食はまず問題なくムービー撮影できることがわかりました。次に、どのモードでどのくらいの星まで記録できるのか確認のため、M45をムービー撮影してみました。
EOS60Daにはいくつかのモービー撮影モードがありますが、以下の4通りで撮影してみました。
 
(1)640x480ピクセル、60frames/sec
(2)1280x720ピクセル、60frames/sec
(3)1920x1080ピクセル、30frames/sec
(4)640x480ピクセル(クロップ)、60frames/sec
 
撮影後、EOS付属のソフトImage Browser EXJPG画像にして抽出して、明るさコントラストを補正した画像を調べます。
もちろん、実際の星食の時には明るい月がそばにあるので、背景のカブリが増え、実際に観測可能な等級はもっと明るいものに限定される可能性大です。
なお、明るさの基準として、M4530秒露光で撮影した画像を反転してネガにして、それに、高機能星図ソフトHNSKY*)で調べた等級を書き込んだ星図(一番下に掲載)を作りました。これと比較して、ムービー撮影で写っている星から限界等級を求めてみました。
 EOS60Daは赤い方の感度が視感度より高いので、赤い星は比較的明るく撮影されるはずで、視等級とは若干異なった結果となるかもしれません。
 
 
(1)640x480ピクセル、60frames/sec
イメージ 1
5.8等級、6.1等級などははっきりと写っています。7.2等級、7.3等級でも写っている星もあります。6.4等級、6.7等級でも写っていない星もあります。
 
(2)1280x720ピクセル、60frames/sec
イメージ 2

6.16.46.7等級あたりはだいたい写っています。7等級台になるとはっきりとしません。
 
(3)1920x1080ピクセル、30frames/sec
イメージ 4

露出時間が約1/30秒と長いので、7.17.4等級でもはっきりと写っています。場所がわかっていれば、8.18.3等級でも認識できます。
 
(4)640x480ピクセル(クロップ)、60frames/sec
イメージ 3


3例が、精細度は違っても、画角がほぼ同じでM45全体が写っているのに対して、クロップの場合は、中心部だけピクセルそのままに記録されるようです。約7倍に拡大されることになるそうです。
逆に言うと、他のモードではピクセルが間引きされているので、そのやり方によってはデータを捨てている可能性もあります。ビニングしているかどうかはかなり怪しいように思えますので位置によって明るさが変わる可能性が排除できません。
アルシオーネ付近だけの拡大になりますが、8.5等級でも良く写っています。
 
HNSKYで調べた等級(例えば3.9等級を392桁で表記)を記載したM45付近の写真(ネガ)(見にくい場合は拡大してください。)
イメージ 5


201512042046分ころ30秒露光で撮影(白黒反転)

AL107PH直焦点、AZ-EQ6GTで放置追尾

EOS60DaISO3200)、30秒露出

 
 

*HNSKYHello NorthernSky)は、TYCHO2++と呼ばれる星表をもとにした星図ソフトで、12.5等星まで約4500000の星が含まれ、星にポインターを合わせると等級などが表示されます。Northern Skyとありますが北天のみならず全天の星が表示されます。

http://www.hnsky.org/software.htm 、

日本語化は、http://e133n35jp.web.fc2.com/kaisetu/Hnsky_Convi.htm

だんだんと月が欠けてきていろいろな地形が見やすくなってきます。望遠鏡で見ていてもどこを見ようか迷ってしまいます。

 

イメージ 1

月齢:18.191AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151230000440
月の位相:230.420°、月の輝面比:81.858
月の地心距離:395,198km、平均との比率:102.809
 
イメージ 2

2015/12/30 00:04:40
月の自転軸の北極方向角:22.368°
地球から見た月面中点の月面緯度:2.512°、月面経度:4.391°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.52°、月面経度:-50.20°     
201512
 

撮影日時:20151230000440ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/320秒(ISO800)で167枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 
  神酒の海には、さざなみの波紋のような起伏があるようです。波が岸で反射してできる波紋のようにも見えます。そう考えると、昔月を見たひとが月の「海」と表現したもの納得できる気がします。
イメージ 3

 

撮影日時:20151230000640ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/100秒(ISO800)で213枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
トリミング:500ピクセルx500ピクセル

その他 同じ

だんだん月の出が遅くなってきました。気温は下がってきており、本格的な冬の到来を感じさせます。

 

イメージ 1

月齢:17.176AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151228234300
月の位相:218.692°、月の輝面比:89.026
月の地心距離:390,609km、平均との比率:101.615

 

イメージ 2

2015/12/28 23:43:00
月の自転軸の北極方向角:19.415°
地球から見た月面中点の月面緯度:3.785°、月面経度:5.146°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.52°、月面経度:-37.88°     
 

撮影日時:20151228234300ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/400秒(ISO800)で207枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 
危機の海は半分くらい闇の中ですが、縁の山脈がくっきりとしており、海としては小規模ですが、クレーターとしては特大に見えます。
 
イメージ 3

撮影日時:20151228234640ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/125秒(ISO800)で212枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
トリミング:500ピクセルx500ピクセル

その他 同じ

 

市街地からのCatalina彗星です。現在、毎日1°以上の速度でほぼ北の方向に移動しています。高度はかなり高く見やすくなっています。でも暗くなっています。

空は少し靄がかかっており、ISO3200では30秒露出できないので、ISO2000にしました。それでもバックグラウンドの明るさはかなりなものです。市街地からはよほど透明度が良くないと困難です。彗星の存在そのものは、1枚撮影しただけでも十分に確認できますが、その後はいくらスタックしてもどうにもならない感じです。12月初めにはイオンテールもダストテールも見えていましたが、今回はかろうじてイオンテールが判別できないでもないというぐらいです。

 

イメージ 1

Catalina彗星 C/2013US10 

撮影日時:20151227042442秒~5656秒 約30分間画質RAW58連写)

露出時間等:30秒(DSSでは32秒と表示)(ISO2000)で58枚撮影しDSSでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)x0.76Reducer
架台:AZ-EQ6GT恒星時放置駆動
カメラ:EOS 60DaISO2000)、高速連写モード撮影、フィルター無し
画像処理:DSSComet alignmentモードでスタック(Light58枚、Dark40枚)、DPPでレベル調整、等
トリミング:3225ピクセルx3225ピクセル(1.5°×1.5°に相当)
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

雲の動きが早く、晴れているかと思うと、10分後には全天雲に覆われたりで、当然、気流状態もいまいちです。


イメージ 1

月齢:16.2AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151227230820

月の位相:206.489°、月の輝面比:94.751

月の地心距離:385,688km、平均との比率:100.335

 

イメージ 2

2015/12/27 23:08:20

月の自転軸の北極方向角:15.330°

地球から見た月面中点の月面緯度:4.904°、月面経度:5.539°

太陽から見た月面中点の月面緯度:1.53°、月面経度:-25.46°     

 

撮影日時:20151227230820秒ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/400秒(ISO800)で200枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 
豊かの海の縁のラングレヌスクレーターは、このくらいの月齢の時にくっきりとした陰影を見せています。薄雲が速い速度で動いており、その合間を縫っての撮影でしたが、像の細部も落ち着かなくてピントが合わせにくいシーイングでした。
 

イメージ 3

撮影日時:20151226日時分秒ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/160秒(ISO800)で200枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
トリミング:500ピクセルx500ピクセル

その他 同じ

満月過ぎでわずかに欠けています。満月前後は画質調整が難しいです。なかなか同じになりません。光条を目立たせようとすると変にくらい感じになってしまいますが、普通にすると海の部分が明るくなり過ぎのようです。秤動の関係で危機の海などが見やすくなっています。


イメージ 1

月齢:15.186AL107PH+2xTeleplusPRO300
20151226235740
月の位相:194.629°、月の輝面比:98.379
月の地心距離:381,140km、平均との比率:99.152
 
イメージ 2

2015/12/26 23:57:40
月の自転軸の北極方向角:10.549°
地球から見た月面中点の月面緯度:5.742°、月面経度:5.541°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.53°、月面経度:-13.75°     
 
撮影日時:20151226235740ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)
露出時間等:1/400秒(ISO800)で200枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所
その他
 

25日の夜はクリスマス満月と言われていましたが、日付が変わってしまいました。シンデレラでした。

夕方の月の出はまだ空が明るく、まだ明るい町並みのすぐ上にポッカリと月が輝いていて幻想的な光景でした。撮影できずに残念でした。また、26日明け方も雲が広がってカタリナ彗星が見られず二重に残念な一晩でした。

 

イメージ 1

月齢:14.193AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151226000810

月の位相:182.097°、月の輝面比:99.967       

月の地心距離:376,900km、平均との比率:98.049
 
イメージ 2

2015/12/26 00:08:10
月の自転軸の北極方向角:4.890°
地球から見た月面中点の月面緯度:6.314°、月面経度:5.179°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.53°、月面経度:-1.71°       

 

撮影日時:20151226000810ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/800秒(ISO800)で190枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

 (2015/12/24にアップした文章は誤解している点があったので差し替えさせていただきます。既にお読みの方にはすみませんでした。2016/01/13


高速で点滅するLED光を撮像面全体に当てて高速シャッターで動画撮影すると下のような画像が得られます。LED光は全面に当てているのに縞模様になります。これについて考えて見ます。観測時刻精度を少しだけ向上させられる可能性があります。
 
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かつての銀塩フィルム一眼レフではフォーカルプレーンシャッターが一般的でしたが、CCDCMOSの撮像素子が実用化されてからは、電子式のシャッターが併用されることがあります。
どちらもそうですが、シャッターがレンズ主点付近にあるレンズシャッター式を除いて、シャッターが撮像面をスキャンすることになるので、撮像面上の位置によって、露光されている時刻は若干異なります。撮像面の位置によらず同時刻に露光されるものをグローバルシャッター、スキャンして露光するものをローリングシャッターというようです。
それとは別に、昔のテレビカメラでは、スキャンの方式として、インターレーススキャン(奇数ラインをスキャンした後で偶数ラインをスキャンして両方合わせて1フレームを構成する)とプログレッシブスキャン(1回のスキャンですべてのラインを読みだして画面を構成する)がありますが、EOS60Daの場合、30pとか、60pとあるようにプログレッシブスキャンのようです。
さて、話を戻して、ローリングシャッターの場合、撮像面上の位置によって露光された時刻が異なります。また、厳密にはライン転送かピクセル転送かによって異なりますが、私の知る限りの資料では、EOS60Daがどちらかわかりません。CMOSなのでピクセル単位と思われますが、どちらにしても常識的には横方向にはほぼ同一時刻(0.1m秒以下)と考えて大丈夫と思います。
 
●スキャン方向は上から下か? 下から上か?
  縞模様の画像からはどちらかわからないので、フレームレートよりLEDの点滅周期を長くして、フレームのスキャン途中で発光状態の違う画像を探します。
以下の画像は、短時間のPPSパルス信号(LED)を1/60のシャッター速度で撮影したもののうち、発光が記録された連続6コマの画像です。

イメージ 2 イメージ 3 イメージ 4 イメージ 7 イメージ 5 イメージ 6
      
3フレーム目では、シャッターが閉じる途中でLEDの発光が始まっていると考えられます。時間的に見て、前半はシャッターが閉じてからLEDが発光しているので、暗くなります。後半はシャッターが閉じる前にLEDが発光しているので明るくなります。
また、次のフレームでは、シャッターが開き始める途中でLEDが消灯していると考えられ、時間的に後半ではシャッターが開く前にLEDが消灯しているので暗くなります。
このようにして考えると、スキャン方向は、上から下に向かっていることがわかります。
 
●スキャンの速度は?
 縞模様画像に戻りますが、点滅の周期は(ほぼ)正確にわかっているので、縞の周期(ライン数)からスキャンの速度(ライン/sec)がわかります。逆に、縦のライン数は1080とか720、480と決まっているので、上端と下端では、露光時刻がどれだけ違うのか計算できます。
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 この例では、LEDの点滅周波数は200Hz*)、縞の周期が約295ラインなので、スキャン速度は約59000ライン/secとなり、1フレーム1080ラインであることから、その上端と下端の露光時刻の違いは、18.3msec1/54.6sec)だと考えられます。
 
*)プログラマブル水晶発振・分周器(SUWASEIKO8651A)を2kHzに設定し、10進カウンタ(SN7490AN)+10進デコーダー(SN7442AN)によって周波数200Hz(デューティサイクル1:10**))としてLEDを点灯させました。製造番号が古い!

 
イメージ 9

**)信号波形のデューティサイクルは1:10ですが、画像を見ると、明るいところの幅は周期の1/10になっていません。これは、LEDの発光波形(強度)がなまっているわけではないと思います。以下のようにLEDの点灯タイミングとシャッター速度及びスキャンのタイミングの関係で蓄積時間が変化し、LEDの発光波形と、画像の縞の強度パターンは相似にはなりません。
 以下の図で、横軸はスキャン開始からの経過時間(t1t2など)、縦軸がスキャン位置(ライン、L1L2L3L4など)です。

イメージ 10


各ラインはスキャン時間に応じた時間遅れで、シャッターが開放され、シャッター速度(ts)で決められる時間後に同じタイミングでシャッターが閉じられます。左上から右下への斜めの青線は各ラインの露光開始時刻(シャッター開)、赤線は露光終了時刻(シャッター閉)です。この例では、シャッター速度がフレームレートよりずっと短い場合です。

シャッターが開いている間にLEDが点灯(t1で点灯、t2で消灯)すれば、その時間の重なりの分だけ明るさが蓄積されます。L1では、シャッターが閉じる瞬間にLEDが点灯しますので、ここから明るくなります。蓄積時間は下のラインに行くに従って長くなり、明るくなります。L2では、シャッターが開くと同時にLEDが点灯し、シャッターが開いている間はLEDが点灯していますので、最高強度になります。その後、シャッターが閉じるときにLEDが消灯するL3まで、シャッターが開いている間はずっとLEDが点灯しているので最高強度のままになります。L3からはシャッターが閉じる前にLEDが消灯するので、徐々に蓄積時間が短くなり、L4ではシャッターが開くと同時にLEDが消灯するので明るさは蓄積されなくなります。

シャッター速度とLEDの点灯時間の関係によっては、L2L3は逆転する場合があります。

このように、LEDの発光波形が矩形でも縞の強度パターンは台形となり、縞の強度パターンのデューティサイクルはLEDのデューティサイクルより長く(大きく)なります。

 フレームレートより長いLED発光パルスで時刻計測しようとする場合、この比例部分の足(露光開始・終了時刻)の判定が精度に影響をあたえるかもしれません。
 一つの解決方法は、LEDの発光強度を極めて明るくして、わずかでも点灯したら蓄積時間に関わらず直ちに飽和してクリッピングしてしまうくらい明るくすることではないかと思います。
 
●フレームの露光時刻はいつ?
 予定では、GPSPPS信号でLEDを点灯させ、それを撮像面全面に当ててフレームの露光時刻を得る予定です。この時のLED発光はごく短時間なのですが、先に説明したように、シャッター速度に応じた分だけフレームの中のラインが明るくなるはずです。なるべく暗い星まで記録しようとすると、フレームレートとシャッター速度はほぼ等しくなるので、2フレームにまたがって明るくなるはずですが、その処理について今後勉強する予定です。LEDが十分に明るければ問題はないはずなのでここは楽観的に考えています。
 
【謝辞】
今回の検討にあたり、セッピーナさんのブログを参考にさせていただきました。いつもながら大変感謝しております。
主な参考ページ
「デジカメのセンサー走査時間を測る方法」
「動画の撮影時刻を知る(1)
 

どのくらいの明るさの星食(本当は掩蔽というべきか)なら観測できるのか、撮影してみました。


EOS60Daの動画モードには、幾つかの精細度とフレームレート(fps)の組み合わせがありますが、データ量と時刻精度を考えて最も好ましいと思われる640x480ピクセルで60fpsのモード(露出時間は1/60秒)で、感度は最高のISO6400にして、記録できるのかどうか確認してみました。


これが全くダメだとはじめからやり直しになってしまいますので、見極めとして重要です。残念ながら時刻記録の方の準備ができていないので、観測データとしては記録できませんでした。


 今回、食されたのは、おひつじ座ξ星(HD14951HIP11249)で、視等級5.48の星です。Cartes du Cielでシミュレーションしてみると、自宅の位置では月齢10.1輝面比:81.2)の月に、2232分過ぎに潜入(暗縁)することになっていました。まだ時刻同時記録が出来ていないので正確なところは不明ですが、223223秒ごろ潜入したようです。


 EOSの付属の動画処理ソフトのImageBrowser EXで、潜入前後の6フレームをjpgファイルにして見たところ、フレーム単位では潜入の瞬間が明確に撮影出来ていることが確認できました。


 比較的透明度もよく、高度も約50°あったので、条件としてはかなり良いですが、月齢10前後で5.48等級の暗縁潜入がちゃんと撮影出来たということは一定の成果だったと思います。


 反対に問題としてわかったのは、ImageBrowser EXでは、連続1000フレームまでしかJPG抽出ができないので、1分間3600フレームの処理は数回に分けて手作業で行わなくてはならないということです。時刻記録をGPSPPS信号と正分パルス信号に合わせたLED発光とすると、1分間程度の連続撮影が必要となりますので、フレーム数を間違えないようにJPG抽出を行わなくてはなりません。

 

ξAri食の暗縁潜入前後の連続6フレーム
イメージ 1
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イメージ 6


撮影条件等

撮影日時:201512212232ころから640x480モードで動画撮影

露出時間等:1/60秒(ISO6400
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)直焦点
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da640x480モード撮影、60fps

画像処理:ImageBrowser EXjpgに変換、コントラスト等自動処理、

トリミング:280ピクセルx50ピクセル
場所 自宅ベランダ観測所
 

21日の夜は安定して晴れでした。月はおひつじ座にあります。まだ随分と離れていますが、2232分ころ、おひつじ座ξ星の星食があります。今夜はそちらも見る予定です。

 

イメージ 1

月齢:10.044AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151221203340
月の位相:127.486°、月の輝面比:80.428
月の地心距離:368,423km、平均との比率:95.844
 
 
イメージ 2

2015/12/21 20:33:40
月の自転軸の北極方向角:-18.607°
地球から見た月面中点の月面緯度:4.712°、月面経度:1.107°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.53°、月面経度:48.61°      

 

撮影日時:20151221203340ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/250秒(ISO800)で208枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 
虹の入江をクローズアップしておきます。
露光は1/60秒で、全面の時より4倍かけてシャドウ部に合わせたつもりでしたがややオーバーだっかかもしれません。半分だけ嵐の大洋に沈んでいるのは、付近の月面の陥没による傾斜か、嵐の大洋のほうが盛り上がっているのか、生成時のことを想像すると面白いです。嵐の大洋が微妙に波打っている様子も溶岩が冷えていく時の様子を反映しているのでしょうか。
イメージ 3





晴れていた空が望遠鏡を月に向けると急に雲が迫ってきました。温度順応させる間もなく撮影してしまいました。その後もずっと曇ってしまいました。


イメージ 1

月齢:8.939AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151220180300
月の位相:112.843°、月の輝面比:69.410
月の地心距離:368,798km、平均との比率:95.941
 
イメージ 2

2015/12/20 18:03:00
月の自転軸の北極方向角:-22.400°
地球から見た月面中点の月面緯度:3.287°、月面経度:-0.123°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.52°、月面経度:62.02°      

 

撮影日時:20151220180300ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/250秒(ISO800)で200枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

コペルニクスをトリミングしてみました。嵐の大洋の中に独立しているので、クレーター外側の微妙なひだひだ感を見ることが出来ます。南部のようにクレーターが密集して重なり合っているとわかりませんが、風も雨もない月面でどのように風化?侵食?されてきたのでしょうか。

(露出条件は全体像のそれとはやや異なります。)

イメージ 3

 



今夕もよく晴れていました。今夜の月のハイライトは直線の壁の夜明けです。断崖のような印象を受けますが、カグヤの観測によれば、意外となだらかだそうです。それでも100km以上同じような傾斜がまっすぐ続いているのは絶景だと思います。


イメージ 1

イメージ 2


月齢:7.937AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151219180000
月の位相:99.657°、月の輝面比:58.388
月の地心距離:369,830km、平均との比率:96.209

2015/12/19 18:00:00
月の自転軸の北極方向角:-24.393°
地球から見た月面中点の月面緯度:1.782°、月面経度:-1.138°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.52°、月面経度:74.19°      

 

撮影日時:20151219180000ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/160秒(ISO800)で200枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 
 

学生の頃、星食観測をして水路部に報告したこともありました。望遠鏡で覗きながら、JJYと一緒に声を録音して後から聞いて0.1秒単位で記録していましたが、実質0.3秒の精度ぐらいだったでしょうか。
その後、8mmビデオで撮影してコマ送りして食の時刻を観測したりしたこともありましたが、なかなか周辺機材を揃える余裕がなく、今ひとつ精度が上がりませんでした。また、ビデオ画像の記録処理の問題と思いますが、一コマ約1/33秒にも関わらず、潜入時に明るさが暗くなり始めてから完全に消えるまで数コマかかっており、現象の時刻記録としては信頼がおけなかったのも今ひとつ力の入らなかった原因です。知識、道具、時間がもう少しあればなんとかなったかもしれませんが残念でした。当時、LimovieLight Measurement tool forOccultation observation used Video rEcorder)またはそれに類するものが使えれば、もう少し違った展開があったかもしれません。自分で自由に使えるPCを入手したのも2年ほど前ですから、デジタルデバイドの向こう側の住人でした。
さて、再開にあたって、時間基準にJJYではなくGPSを使ってみることにしました。
PPSパルス信号の出力のあるGPSモジュールはいろいろあるようですが、ここでは動作確認が容易と思われる、Tristate社製のGPS世界時計(販売:秋月電子通商、古野製特注GPSモジュール使用)の利用を考えています。先に購入したものです(http://blogs.yahoo.co.jp/thought_of_stars/17565379.html)。
UTCに同期したPPSパルス(パルス幅80μ秒、LED発光と定格100mAのオープンコレクタ出力)のほか、NMEAデータを元にした正秒、正分、正時、正日、正月パルス(パルス幅100m秒、LED発光と定格100mAのオープンコレクタ出力)が利用できます。
Tristate社に確認してみたところ、このモジュールは時刻予告型のNMEAだそうで、受信時点での次の正秒時刻が得られるような設計とのことです。具体的には$PFEC,GPastセンテンスで時刻を得た時点で正秒LEDが点灯開始するため、PPSパルスより早めに点灯することになります。どれだけ早いかは受信状態等に左右され、実際に測定してみた時は、最大0.1秒以上違うこともありました。
この辺りを、EOSの動画モード(公称約60コマ/秒)で撮影して確認してみました(実は、動画にとってみたら違うことがわかったのでメーカーに原因を聞いてみたというのが本当のところです)。
撮影したファイルをEOS付属のソフトImage Browser EXでコマ毎にJPGファイルに変換して比較してみます。ちょうど00秒になるところで、正秒LEDと正分LEDが同時に点灯するタイミングです。点灯時間が100m秒なので、約6コマに相当しますが、立ち上がりと立ち下がりはコマの中間なので足掛け7コマでLEDが点灯している様子が記録されています。PPSLED80μ秒と短いパルスなので、正秒LEDの点灯開始から6コマ目のみ写っています。
青いLEDがPPS信号、緑LEDが正秒、赤LEDが正分です。


(1)正秒LED、正分LED点灯前
イメージ 1


(2)正秒LED、正分LED点灯開始(立ち上がり)
イメージ 2


(3)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 3


(4)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 4


(5)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 5


(6)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 6


(7)正秒LED、正分LED発光中、PPSLED発光
イメージ 7


(8)正秒LED、正分LED発光終了(立ち下がり)
イメージ 8


(9)正秒LED、正分LED消灯
イメージ 9


 
別のケースだと、正秒パルスが早すぎて、消灯後5コマ目でPPSLEDが点灯していました。
(1)正秒LED、正分LED点灯前
イメージ 10


(2)正秒LED、正分LED点灯開始(立ち上がり)
イメージ 11

   (3)
正秒LED、正分LED発光中
イメージ 12

 
(4)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 13


(5)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 14


(6)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 15


(7)正秒LED、正分LED発光中
イメージ 16


(8)正秒LED、正分LED発光終了(立ち下がり)
イメージ 17


(9)正秒LED、正分LED消灯
イメージ 18


(10)          正秒LED、正分LED消灯中
イメージ 19


(11)          正秒LED、正分LED消灯中
イメージ 20


(12)          正秒LED、正分LED消灯中
イメージ 21


(13)          正秒LED、正分LED消灯中、PPSLED発光
イメージ 23



(14)          正秒LED、正分LED消灯中
イメージ 22


 
したがって、実際の観測には正秒パルス(100m秒)ではなくPPSパルス(80μ秒)を使う必要があります。
 
 

久しぶりの月です。しばらく晴れるような雲が出るようなで見ることが出来ませんでした。

今夜の月のハイライトは月面Xでしょうか。Xに見える時間はあまり長くありません。1時間も経つとXの上の方がつながってしまいます。

 

イメージ 1

イメージ 2

月齢:6.997AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151218192550
月の位相:87.390°、月の輝面比:47.723
月の地心距離:371,256km、平均との比率:96.581
 
イメージ 3

2015/12/18 19:25:50
月の自転軸の北極方向角:-24.949°
地球から見た月面中点の月面緯度:0.276°、月面経度:-1.981°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.52°、月面経度:85.62°      

 

撮影日時:20151218192550ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/160秒(ISO800)で50枚位撮影し、Registaxでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 
 

NGC246はくじら座にある惑星状星雲です。ドクロ星雲とか、最近ではパックマン星雲とも呼ばれているようです。その斜め左上隅にNGC255が見えています。こちらは棒渦巻銀河です。どちらもかすかです。
 
イメージ 1

NGC246 AL107PH直焦点(約1°×1°にトリミング

位置:くじら座(赤経00h47.1m、赤緯-11°52.3(J2000.0)

視等級:8mag、視直径:3.8′、距離:1600光年

NGC255

位置:くじら座(赤経00h47.3m、赤緯-11°28.1(J2000.0)

視等級:11.9mag、視直径:3.1

 

撮影日時:20151204194850秒~約20分間画質RAW37連写)

露出時間等:30秒(ISO3200)で37枚撮影しDSSでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)直焦点
架台:AZ-EQ6GT恒星時駆動、M-GENSMCタクマー135mmF3.5)でガイド

カメラ:EOS 60DaISO3200)、高速連写モード撮影、LPR-N光害防止フィルター付

画像処理:DSSでスタック(Light37枚、Dark24枚)、DPPでレベル調整、等
トリミング:2850ピクセルx2850ピクセル(1°×1°に相当)
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

おおいぬ座の首輪の飾りのような位置にある散開星団です。視直径も30′と大きく、見応えがあります。シリウスの真下、南に4°くらいです。冬の凍てつく空の下、燦然と輝くシリウスのアクセサリーのようでもあります。この時の撮影データを元にM-GENを用いた撮影系の精度を確認してみたものです。薄っすらと結露が始まってしまい、星像はちょっとボケ気味です。
 

イメージ 1

M41NGC2287 AL107PH直焦点(約1°×1°にトリミング

位置:おおいぬ座(赤経06h47.0m、赤緯-20°44(J2000.0)

視等級:4.6mag、視直径:30′、距離:2470光年

 

撮影日時:20151204225836秒~約20分間画質RAW38連写)

露出時間等:30秒(ISO3200)で38枚撮影しDSSでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)直焦点
架台:AZ-EQ6GT恒星時駆動、M-GENSMCタクマー135mmF3.5)でガイド

カメラ:EOS 60DaISO3200)、高速連写モード撮影、LPR-N光害防止フィルター付

画像処理:DSSでスタック(Light38枚、Dark29枚)、DPPでレベル調整、等
トリミング:2850ピクセルx2850ピクセル(1°×1°に相当)
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

M-GENをガイドに用いた撮影系全体の精度を確認するために、M41を撮影した時(124日)のディープスカイスタッカー(DSS)のスタック処理のデータをグラフにしてみました。
一枚の露出時間は30秒(カメラ側表示、DSSでは32秒)で、38枚連続撮影しています。
M-GEN用のレンズはSMCタクマー135mmF3.5を用いています。撮影側はAL107PH直焦点(f700mm)+カメラEOS60Da、赤道儀はAZ-EQ6GTです。
 M-GEN単体はおそらくもっと頑張っているものと思いますが、M-GENのレンズからM-GEN撮像面、M-GENでのデータ処理、M-GENからAZ-EQ6GTへの赤経赤緯補正信号、AZ-EQ6GTの補正動作、鏡筒、主鏡等のたわみを含めてカメラ撮像面までのシステム全体として、撮影されたものがどうなるか、ある程度様子がわかると思います。
 M-GENの蓄積時間は1秒に設定しましたので、その頻度で補正信号が出ているものと思います。一方、カメラ側は30秒露出なので、その間の動きを積分したものになります。
 
●約20分間のガイド偏差(DSS解析データより)
イメージ 1


データ:dxが赤経方向、dyが赤緯方向(それぞれ近似直線付き)
縦軸:偏差(EOS60Da上のピクセル数)
横軸:経過時間(分:秒)
 
 これを見ると、長期的にずれていく傾向と、短期で修正されている様子がわかります。また、長期的なずれを除くと平均的なずれの幅(両側)は大体1ピクセルぐらいかと思われます。
 短期的なところはM-GENの努力の結果と考えられ、この撮影光学系に対しては十分な精度が得られていると考えて良いと思います。
 長期的なずれの原因究明は少し難しそうです。
20分の間に一定の傾向でずれていく要素としては、望遠鏡の姿勢の変化(角度にして5°程度)が第一に考えられます。M-GENと鏡筒との取り付け部の剛性、鏡筒ドロチューブの固定、カメラアダプターの遊びなどが考えられます。M-GENのケーブルの固定方法も再考したほうが良いかもしれません。他の方のブログ等に、M-GENのケーブルが硬い!という意見が多く見られますが、現在販売されているものは柔らかいシリコン製のようです(http://blogs.yahoo.co.jp/thought_of_stars/17304398.html)。私も柔らかいものに交換しようと思います。
 次に、温度変化の影響が考えられます。外気温が一定なら十分時間をかけて各部が平衡状態になるまで待てばよいのですが、外気温が変化すると単純ではなくなります。温度は記録してありませんでしたので次回は確認してみたいと思います。
 いずれにしても、短期的ずれも長期的ずれもあまり大きな値ではなく、ISO1600では3分間で視野が真っ白に撮影されてしまうような市街地環境では、実用上は差し支えないと思います。自虐的ではありますが。
ナローバンドフィルターを手に入れて長時間露光が必要になったら再検討します。
 
 

Catalina彗星が今話題のようです。4等級に明るくなり肉眼でも望遠鏡等でぼんやりと見えるようになりました。核は比較的はっきりと分かります。また、彗星と地球、太陽の位置の関係で、イオンテールとダストテールが反対方向に見え、面白い形になっています。

導入は、スピカで1-star Alignmentをした後、Cartes du Cielで日時指定して得た彗星の赤経、赤緯をもとに、AZ-EQ6GTのハンドルコントローラの表示を見ながら望遠鏡を向けて、一枚撮影して確認しましたが、ほぼ真ん中に導入できました。昔に比べると随分楽です。

空の状態はあまり良くなく、そのうち薄明が始まるのは最初からわかっていましたが、近くの国環研からと思われる大気測定用YAGレーザーがちょうど重なってしまったりして、難しい環境でした。画像処理でかなりコントラストを上げてもなんとか見えるという程度です。自宅環境ではナローバンドフィルターが必要と思われます。


イメージ 1

Catalina彗星 C/2013US10 

位置:赤経14hm、赤緯′(J2000.0))付近

撮影日時:201512090453分 秒~約20分間画質RAWで枚連写)

露出時間等:30秒(ISO1600)で 枚撮影しDSSでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)x0.76Reducer
架台:AZ-EQ6GT恒星時放置駆動
カメラ:EOS 60DaISO1600)、高速連写モード撮影
画像処理:DSSComet alignmentモードでスタック(Light20枚のみ)、DPPでレベル調整、等
トリミング:3225ピクセルx3225ピクセル(1.5°×1.5°に相当)
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

9日の朝は今年はじめて車の窓やベランダの手すりに霜が降りました。いよいよ冬です。風が無いせいか透明度は今ひとつよくありません。

直前にカタリナ彗星を撮影していたので、薄明迫る時間になってしまいました。

夜明け近い空では、木星はもう高度がかなり高く、その下に火星や金星が輝き、月は電線にかかりそうな高さ(低さ)です。また、新月2日前ということで、かなり細い月ですこのくらいになると気流の影響も大きく、大きく揺らいでいます。赤道付近やや北側のクレーターは、ヘベリウス、グリマルディなどです。この付近に、ミヤモリ谷、佐伯など日本人の名前のついた地形があるそうですが、もう少し秤動で大きく振れてくれないと判別が難しいです。

 

イメージ 1

月齢:27.128AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151209055240
月の位相:330.404°、月の輝面比:6.523
月の地心距離:399,381km、平均との比率:103.897

2015/12/09 05:52:40
月の自転軸の北極方向角:15.727°
地球から見た月面中点の月面緯度:-5.322°、月面経度:-3.387°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.53°、月面経度:-157.87°   

 

撮影日時:20151209055240ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/15秒(ISO800)で170枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

イメージ 2

地球照も見えていました。

20151209_05440923_4s_ISO800ar.jpg

撮影日時:20151209054409画質JPG(L)

露出時間等:4秒(ISO8001枚のみ
その他のデータは同じ

続き番号のM79ですが、こちらは、小さくまとまった球状星団です。赤緯-24°と低いようですが、南中時に仰角30°くらいなのであまり無理な姿勢にならずに見ることが出来ます。
今回途中から結露し始めたようで、星像がちょっと変になってしまいました。対策して再挑戦してみたいと思います。

イメージ 1


M79NGC 1904 AL107PH直焦点(約1°×1°にトリミング
位置:うさぎ座(赤経05h24.5m、赤緯-24°33(J2000.0)
視等級:7.9mag、視直径:3′、距離:43000光年
 
撮影日時:20151204221824秒~約20分間画質RAW35連写)
露出時間等:30秒(ISO3200)で35枚撮影しDSSでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)直焦点
架台:AZ-EQ6GT恒星時放置駆動
カメラ:EOS 60DaISO3200)、高速連写モード撮影、LPR-N光害防止フィルター付
画像処理:DSSでスタック(Light35枚、Dark29枚)、DPPでレベル調整、等
トリミング:2850ピクセルx2850ピクセル(1°×1°に相当)
場所 自宅ベランダ観測所
その他
 
 

オリオン座にある散光星雲(反射星雲)ですが、ウルトラマンの故郷の星ということになっています。なんで散光星雲に住んでいるの?という疑問には、実はM78ではなくM87星雲の間違いだったという話もあります。M87はおとめ座A電波源として知られる我々の銀河よりずっと大きな楕円銀河ですからいろいろな種族の生物が住んでいても不思議はありません。
さて、M78星雲ですが、よく見ると周囲に比べて星の数が少なくなっているように見えます。おそらくまだ光り始めていない暗黒星雲が広がっているのでしょう。
中央の星雲がM78NGC2068)で、その上、やや左にあるのがNGC2071です。その他この周辺にはNGC2064NGC2067などもあります。真ん中のM78NGC2068)と暗黒星雲で分割されている右側がNGC2064です。これらのわずか右下で、小さな飛沫のようにかすかに見えているのがNGC2067です。もう少し空の暗いところでコントラストを上げたいです。これらは全体として、オリオン座全体に広がるバーナードループの一部を構成するようです。


イメージ 1
M78NGC2068) AL107PH直焦点(約1°×1°にトリミング
位置:オリオン座(赤経05h46.7m、赤緯-00°03(J2000.0)
視等級:8.3mag、視直径:8′× 6′、距離:1630光年
 
撮影日時:20151204215353秒~約20分間画質RAW37連写)
露出時間等:30秒(ISO3200)で37枚撮影しDSSでスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)直焦点
架台:AZ-EQ6GT恒星時放置駆動
カメラ:EOS 60DaISO3200)、高速連写モード撮影、LPR-N光害防止フィルター付
画像処理:DSSでスタック(Light37枚、Dark29枚)、DPPでレベル調整、等
トリミング:2850ピクセルx2850ピクセル(1°×1°に相当)
場所 自宅ベランダ観測所
その他


FW0230から搭載されているPolarAlignment Menu(ドリフト法あるいはシャイナー法による極軸合せ支援機能)を使ってみました。

以下、作業手順のメモです。完全に理解していないところがあるかと思いますが、気がついたら修正してゆきたいと思います。
 
(1)選択メニューまで
 起動後、「Main Menu」から、「Guiding」、それから「Live View」を選択して出てくる画面の一番下は、最初は「Guiding」となっていますが、ここにカーソルを合わせて「SET」ボタンを押すと、一回押すごとに「Guiding」、「Pol.algn」が切り替わりますので、「Pol.algn」が表示されるようにします。
 なお、ゲイン、露出時間、スレッショルドは予め経験上適当な値にセットされているものとします。
 
●メインメニュー画面

 イメージ 1

●ガイドメニュー画面

 イメージ 2

●ライブビュー画面(Guiding
イメージ 3


●ライブビュー画面(Pol. Algn

 イメージ 4

 
(2)極軸合わせメニュー
 ここで、カーソルを「Select」に合わせて「SET」ボタンを押すと四角のウインドウが現れますので、カーソルキーでウインドウを動かして、適当と思われる星に合わせます。ここで、「SET」を押すと、ウインドウ内が拡大されるとともに、極軸合わせ機能特有の設定メニューが表示されるようになります。
 
●ライブビュー画面(Select

 イメージ 5

●極軸調整画面(Polar Alignment

 イメージ 6

 
3)北半球か南半球か
 「Pole」の項目は、「North(北半球)」か「South(南半球)」かが交互に表示されますので、ここでは「North」選択します。
 
●極軸調整画面(Pole North
イメージ 7

●極軸調整画面(Pole South

 イメージ 8

4)測定時間
 次の「Time」の項目では、何分間測定するかを設定します。最初は0.5分(30秒)くらいが適当らしいです。
 
●極軸調整画面(Time
イメージ 9
 

 
5)どこの星を見るのか
 「Star」の項目では、「East(東の空)」、「West(西のそら)」、「South(南の空)」(*)のいずれかを選びます。これはドリフト法を知っていればわかると思いますが、極軸の高度を調整するためには、東か西の空にある星を選びます。
 
●極軸調整画面(Star East
イメージ 10
 
●極軸調整画面(Star West
イメージ 11
 
●極軸調整画面(Star South
イメージ 12
 
最初は高度、それから方向を調整する方が良いと書いてあります。
東の空の場合(高度調整する時)、理論的には天の赤道上で、時角-6時付近の星が基本ですが、地平線からある程度離れないとシーイングの影響で精度が悪くなりますので、実際には東北の空の星を選びます。
 西の空の星は、調整に時間がかかるとどんどん高度が低くなるので、できれば「West」ではなく「East」を選んだほうが落ち着いて調整できると思います。
(*)その前の「Pole」メニューで「South」を選んだ場合は、「West」「West」「North」になります。
 
6)キャリブレート
 以上の各項目を設定し、「Calibrate」にカーソルを合わせて「SET」ボタンを押すと、次のように表示されます。「Guiding」の時のキャリブレーションと違って、ここでは、星のずれる方向のどちらが南か確認するだけです。
 
●極軸調整画面(Calibrate
イメージ 13

前のイメージもそうですが、一度もCalibrateしたことがない場合は、中央の画面半分上向きの線は表示されません。一度Calibrateされたことがあると前回の履歴が残ります。
 
 「Move DEC slightly to south」とありますので、望遠鏡のコントローラーを使って少しだけ南に動かしてから「SET」ボタンを押します。この時、余り大きく動かすと視野から外れてしまうので、望遠鏡のスピードは最低速にしておいたほうが良いそうです。この時の星の移動方向に応じて、ライブウインドウに南北を示す線が表示されるようになります。この設定はずっと記憶されます。
 
7)ドリフト測定
 いよいよ測定です。「Measure」にカーソルを合わせて「SET」ボタンを押すと測定が始まり、経過時間が表示されます。
 
●極軸調整画面(Measure
イメージ 14
 
●測定中
イメージ 15
 
設定された測定時間が過ぎると、一番下に測定結果が「Pole is 19’down」などと表示されます。この数値と方向をメモしていきます。
 
●測定結果(最下部)
イメージ 16
 
 「Pole is 19’up」と言うのは、天の北極点は、望遠鏡の極軸の向いている方向より上に19’のところにあるという意味ですので、極軸の高度を19’上げれば良いことを示しています。
 
8)極軸の高度の調整
 メニュー画面の「Measure」の右下に「LV」とありますが、ここにカーソルを合わせて「SET」ボタンを押すと、通常のLive Viewが表示されます。
 予め、M-GENとレンズの関係から視野の広さを計算しておけば、極軸高度調整ネジを回した時、どのくらい極軸が動いたか、星の動きとして見ることが出来ます。
 また、ライブビュー画面に戻らなくても、測定のウインドウの画面で、星がずれて48ピクセルに達すると、自動的にセンターに戻る機能がるので、48ピクセルが何分角に相当するか予め計算しておけば、微調整するのに便利だそうです。マニュアルによればM-GENに使われているCCDICX279AL-Eで、そのピクセルサイズは、4.85x4.65μmです。
 
9)再測定と再調整
 同様の手順を繰り返して「Pole is 00’ down」などと表示されるようになることを目指しますが、シーイングの影響もあり、なかなか収束しないこともありますので、どの程度で良しとするか経験がいるかも知れません。極軸の高度調整も結構微妙な操作が必要です。昔は、三脚の石突きを踏み込んで、地面へのめり込みぐらいで微調整していましたが時間とともに霜柱に持ち上げられて極軸が狂うこともありました。
精度を上げるためには測定時間「Time」を長くする必要があります。±数分角になれば十分ではないかと書かれています。あまり突き詰めないほうが良いでしょう。
 
●測定結果(高度OK
イメージ 17

 
10)極軸の東西方向の調整
 次に、「Star」で「South」を選択し、天の赤道上、子午線付近の星を導入し、極軸の東西方向のずれの測定と調整を行います。このとき、子午線を越えてしまって鏡筒の入れ替えが起こらないように注意しなければなりません。
 測定結果が「Pole is xx’ left」と表示されたら、天の北極が極軸の方向より左にあるので、赤道儀の水平回転を、反時計回りに回転させて修正します。
 
●測定結果(東西調整中)
イメージ 18


以上です。

 
 
 

明け方は、帯状の雲が流れてきて、ちょうど月に重なるかどうかのところでした。撮影前後は外れていたのですが、準備完了とともに隠されたり出てきたりでした。風情ではありました。

北側では、虹の入江が半分だけ日があたっています。アリスタルコスは、ぽつんと輝いています。南側では、ガッサンディがいい感じです。

南部クレーター群は複雑で月面図を見ながらでないと特定できません。


イメージ 1

月齢:24.074AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151206043410
月の位相:296.967°、月の輝面比:27.326
月の地心距離:404,780km、平均との比率:105.302
 
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2015/12/06 04:34:10
月の自転軸の北極方向角:24.177°
地球から見た月面中点の月面緯度:-1.941°、月面経度:0.175°
太陽から見た月面中点の月面緯度:1.52°、月面経度:-120.66°   

 

撮影日時:20151206043410秒ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/80秒(ISO800)で220枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

冬型の気圧配置になり空がきれいになりました。幸い今のところ風もあまり強くありません。

このぐらいの位相だと、コペルニクスが目立ちます。南の方に目を向けると、雲の海の中のブリアルドスが陰影深く見えています。更に南に向かって、ウィルヘルム、ロンゴモンタヌス、シャイナーなどです。ブランカヌスは火口底が暗くなり縁だけ輝いています。

 

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月齢:23.079AL107PH+2xTeleplusPRO300

20151205044120

月の位相:286.258°、月の輝面比:36.002

月の地心距離:404,407km、平均との比率:105.205

 
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2015/12/05 04:41:20

月の自転軸の北極方向角:24.951°

地球から見た月面中点の月面緯度:-0.613°、月面経度:1.591°

太陽から見た月面中点の月面緯度:1.51°、月面経度:-108.54°   

 

撮影日時:20151205044120秒ころ(画質JPG(L)45秒間の高速連写)

露出時間等:1/125秒(ISO800)で220枚位撮影し、Registax120枚を自動選択してスタック合成
望遠鏡:AL107PH (D107mmf700mm)2xTeleplusPRO300
架台:AZ-EQ6GT放置駆動
カメラ:EOS 60Da、高速連写モード撮影
画像処理:Registaxでスタック、wavelet処理、DPPでトーンカーブ調整等
トリミング:3315ピクセルx3315ピクセル(約35'×35'
場所 自宅ベランダ観測所

その他

 

(アップデートに失敗すると、最悪、保証外で工場送りになる可能性があるのであくまで自己責任でお願いします。特に、アップデート後、アップデートモードを終了するためには電源ケーブルを抜く以外の方法が示されていないのですが、その時、何かの間違いで書き込み動作が行われていると最悪工場送りです。)
 
先日ダウンロードしたファームウエア(FW)のファイル等を使って、M-GENのファームウエア(FW)を2.11から2.30にアップデートしました。
 
0.はじめに
2.112.30の間に、2.122.20があるのですが、あまり魅力的な修正点もなかったので、スルーしていましたが、今回、ドリフト法(シャイナー法)によるPrecise Polar Alignment 機能が追加されたので、北極星の見えないベランダ観測所としては大いに期待したいところです。
 そのほか、2.11から2.30までのアップデート内容の詳細はマニュアルに譲りますが、主なところは以下のとおりです。
 ・バージョン番号がメインメニューのヘッダーに表示される。(確認済み)
 ・室内でのテスト用にエミュレーションモードが追加された。(未確認)
 ・Astro Photography Toolとの連携が可能となった。(未確認)
 ・DC入力電圧が表示可能となった。(未確認)
 ・赤緯バックラッシュ除去が可能となった。(未確認)
 ・自動シャットダウンが可能となった。(確認済み)
 
1.アップデートの準備、パソコン(PC)との接続
 UPDATEモードの起動については、ハードウエアマニュアルの1.4の最後及び1.5に書かれていますが、現在のバージョンでは、PCからソフトウエア(LMG_SAAG_WinApp.2.30.exe)によってUPDATEモードを起動できるので、通常の使用待機状態で、USBケーブルでつなげば準備完了です。
 ハンドルコントローラ(HC)とカメラのファームウエアを両方共書き換えるので、HCとカメラを所定のケーブルで接続しておきます。HCだけならUSBからの給電で動きますが、USBの電圧、電流が足りないとカメラが起動しないようなので、通常の使用状態と同じように12V電源もHCにつなぎました。
 USBケーブルをPCに接続すると、デバイスドライバーのインストールが始まります。USB通信のためにFTDIのチップが使われているようですが、このドライバーはWindowsのシステムに含まれているので、しばらく待っていればデバイスが使えるようになります。
 
2.現在のFWバージョンの確認(HCから)
 HCESCボタンを短く押して起動します。最初にバージョン番号が表示されます。現在のバージョンは02.11です。

 
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いつも日付入力から始まりますが、面倒です。ハードウエアの変更が必要だと思いますが、次はリアルタイムクロック(RTC)を載せてほしいものです。

 
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現バージョンは02.11なので、メインメニューのヘッダーにバージョン番号は表示されません。アップデート後は、表示されるはずです。

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ここで、一旦パワーオフします。これも今はシンプルですが、自動パワーオフメニューが表示されるはずです。
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3.PCアプリの起動とPCからのバージョン確認
 PCアプリ(LMG_SAAG_WinApp.2.30.exe)を起動します。

昔のメニューに比べると賑やかです。
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左下のDirectメニューの「Power ON」をクリックして、M-GENPCから起動させます。起動されたHCの表示は通常の使用時と同じです。

その後で、一番上の「Firmwarecontrol」をクリックします。

左下の「Checkversion」をクリックすると、左上の枠内に、情報が表示されます。「Power ON」してないとエラーになります。

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HCBOOTバージョンが$16FWバージョンが$0211、カメラのBOOTバージョンが$14FWバージョンが、$0211と表示されています。

 

なお、「Checkversion」をクリックした時点で、HCの表示が以下のように変わります。

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M-GENのマニュアルの1.6にハードウエアタイプの記述があり、新しいものと古いものがあると書かれていますが、BOOTバージョン$14以降は新しいもののようです。(だとするとビープ音もなるはずだが・・・)

HCの表示の一番下の「UPDATEMODE」の右肩に小さな「x」がありますが、これも新しいものを示す印だそうです。

 

4.ファームウエアのアップデート
 いよいよアップデートです。先のPCアプリ画面の右上の「・・・」をクリックしてFWのファイル選択画面を出します。ここでは、英語バージョンの「LMG_0230_EN.fw」を選択します。英語のほか、フランス語、ドイツ語、ハンガリー語のバージョンが用意されていました。

ファイルを選択すると、バージョン番号が表示されますので、HC、カメラともに、$0230であることを確認します。
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 大丈夫だったら、中央下の「UPLOAD」をクリックすると始まり、一番下のバーに進行状態が表示されます。

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 HCの方にも、進行状態が表示されます。

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 完了すると、バーの上の表示が「Done」になります。また、左上の枠内のバージョン表示も更新されます。

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念のため、「Checkversion」をクリックして確認します。間違いないようでうす。

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この時点で、HCUPDATEモードになったままですが、マニュアルには電源ケーブル(USBケーブルを含む)を抜く以外に電源を切る方法が示されていません。PCアプリを終了するなどして、確実にHCへの書き込みがされていないことを確認して、ケーブルを抜きます。もし、ここで何かあると、最悪、工場送りになってしまうので、この手順はなんとかしてほしいものです。今回は何事もなかったようで良かったです。
 
5.再起動と動作の確認
 USBケーブルを外して、HCを再起動させます。起動画面で、2.30になったことが確認できます。

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また、メインメニューのヘッダーにもバージョン番号が表示されるようになりました。

 
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 では早速、「Guiding」メニューから「Live View」を選択します。

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一番下に「for Guiding」とありますが、「Guiding」をセットすると表示が変わり、「Pol. algn」になります。待望の極軸合わせモードです。
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 まず、北半球か南半球か選択します。最初は「North」でした。

 
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South」にすることも出来ます。

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残念ながら、まだ室内なので、star lostエラーが出て終了してしまいます。当たり前ながら残念。
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次回は、実際の星空で検証してみたいと思います。
 
最後に、Power offメニューですが、自動シャットダウン機能の表示が追加されています。

 
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